研究レポート紹介シリーズVol.18「英国貿易産業省(DTI)による英、米、仏、独における金利規制の影響に関する調査報告」

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内容抜粋
第18回目として紹介させていただく研究レポートは、早稲田大学消費者金融サービス研究所による、「英国貿易産業省(DTI)による英、米、仏、独における金利規制の影響に関する調査報告」の翻訳です。

[概要]
 英国では、2000年以来議論されてきた消費者信用規制改革の一環として、上限金利規制問題が議論の対象になっていました。1974年消費者信用法の導入とともに、上限金利規制は撤廃されました。しかし最近、一部の消費者団体が消費者に利益をもたらすとの観点から上限金利の導入を主張しています。英国貿易産業省(DTI)は、こうした主張について評価を行うために、以下の調査を委託・実施しました。

  • 上限金利は他の国ではどのように適用されているのか。
  • 上限金利がクレジット市場全般にどのような影響を及ぼしてきたか。
  • 上限金利が低所得者や信用履歴に傷のある者に対するクレジットの利用可能性にどのような影響を及ぼしてきたか。
  • 上限金利がクレジットのコストにどのような影響を及ぼしてきたか。

 調査の結果、以下のことが明らかになりました。

  1. クレジットに対する需要(特に低所得者層の)は、どこの国でも同じようにある。
  2. 英国、フランス、ドイツの債務者は異なる商品を利用しており返済期間も借入期間も異なるが毎月の返済額は類似している。
  3. 米国および英国の消費者は、伝統的なクレジット商品よりも新世代のサブプライム商品を選好している。
  4. 上限金利を適用している市場では、クレジット商品の多様性が少なく、低所得者層が利用できる範囲も狭いものとなっている。
  5. 上限金利が設けられると、サブプライム層向け貸付業者は発展できないか、市場から撤退するか、アクセスのハードルを高めるという行動を取る。結果、高リスク者は排除される。
  6. 上限金利が適用されている市場では、消費者の自然な選択パターンが歪められることによって、債務者は遅延損害金や債務不履行を増大させる。
  7. フランスおよびドイツでは、債務不履行を起こした者は社会・経済生活においてより厳しい制裁を受ける。
  8. フランスおよびドイツの信用履歴に傷のある者は、違法な貸付業者を利用する可能性が、英国などに比べ高い。

 以上の調査結果に基づいて、DTIでは、上限金利の導入によって、より多くの社会的な弱者がこれまで以上に保護されることにはならないという結論を下しました(違法な業者の増加など、別の問題を生み出してしまう)。社会的な弱者の保護は、クレジット契約の透明性向上、免許制度の強化、不公正取引や違法な業者の取締り強化、ADR(裁判外紛争解決手続き)の導入などによって、より良く達成することができるとしています。